タスク管理における「トリアージ」の重要性と危険性
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トリアージという言葉をご存知でしょうか?
これは医療の現場で使われる言葉で、次のような意味で使われます。
トリアージ(Triage)は、対応人員や物資などの資源が通常時の規模では対応しきれないような非常事態に陥った場合において、最善の結果を得るために、対象者の優先度を決定して選別を行うこと。語源はフランス語の「triage(選別の意)」。トリアージュともいう。
例えば大規模災害などの時に病院にたくさんのけが人が運ばれてきますが、とても対処しきれないという事態に「命の危険が迫っている人」を最優先して治療するなどといった対応のことを指します。
タスク管理においても「トリアージ」することが重要な局面があります。
差し迫ったタスクの重要度
タスクにおいてその重要度を図る基準は以下の通りだと僕は考えています。
そのタスクを実行しないと大きな損害が出る
そのタスクを実行しないとプロジェクト自体が回らなくなる
そのタスクを実行しないと周りの誰かのプロジェクトが回らなくなる
そのタスクを実行しないと周りの誰かに大きな損害が出る
大きく分けると「自分が困る」か「相手を困らせる」かということです。
では、タスクのトリアージとはどういう時に必要なのでしょうか?
それは「自分が困るタスク」と「相手を困らせるタスク」の両方が差し迫ったタイミングで必要になるのです。
例えば、今日この資料を作っておかないといけない…でも、この資料もまとめておかないとA君に迷惑をかける…こんな状態です。
この場合、どちらを優先すべきかということを考えるのが「トリアージ」なのです。
では、どちらを優先すべきか…言うまでもありません。「相手を困らせるタスク」と最優先で実施すべきです。
自分が困るタスクははっきり言って「自分の責任」です。自分が前もってしっかりとスケジューリングして備えておけばよかったことですから、仮にそれができなくて怒られるようなことがあったとしても、それは自分が悪いのだから仕方がありません。
しかし、相手を困らせるタスクは相手は自分のせいで怒られてしまうので、申し訳ない気持ちになります。
そして相手からすると「君に頼んでもちゃんとやってくれないから…」と相手からの信頼を失うこととなり、その後の仕事にも大きな影響を与えてしまいかねません。
このように人に関係するタスクはもっとも優先順位が高いということなのです。
次に考える必要があるのが「トリアージすることの危険性」です。
医療の現場でもあることだそうです。
平常時なら助かった命も、より優先度の高い怪我人の治療が優先されることによって助からないなんてこともあるそうです。
トリアージするということは「普段ならちゃんと取り組むことを緊急事態なので、それはとりあえず置いておいてもっと大切なことに時間を使う」ということです。
そう、つまり「取り置かれたタスクをいつ処理するのか?」ということが問題なのです。
「普段ならちゃんとやるけど、ちょっと今日やらなければならないことがたくさんあってできなかった!」
こんな言い訳を普段からよくしている人は「トリアージ」の危険性にはまっているといってもいいかもしれません。新しく入ってくるタスクの優先度ばかりに意識して、元からあったタスクの優先度を考え直していないことが原因です。
たしかに次から次へと優先度の高いタスクが入ってくることも考えられますが、取り置いてタスクの優先度は最初のままではありません。
時間が経てばどんどん優先度は高くなっていくもの…だから新しいタスクが入ってくる度に、その都度取り置いていたタスクの優先度と比較して取り組む順番を決めなくてはそのタスクは処理されずに終わってしまうでしょう。
トリアージは最後の手段
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今回はトリアージについて書いてきましたが、トリアージするのはあくまで「最後の手段」にしたいところですね。
しっかりとスケジューリングして自分のタスクも相手に関わるようなタスクも余裕をもって取り組みたい…それが理想です。
しかしスケジューリングは完璧ではありません。予想外の出来事というのも起こるものです。
なのでその時のためにもこのトリアージという考え方をしっかりと理解しておくとよいでしょう。